東京地方裁判所 昭和45年(借チ)2080号・昭45年(借チ)2044号 決定
〔主文〕1、申立人に対し、別紙目録(一)記載の建物及び同目録(二)記載の土地賃借権を相手方らに譲渡することを命じ、その対価を金二六四万円と定める。
2、申立人は、相手方らから前項の対価の支払を受けるのと引き換えに、相手方らに対し、前項の建物につき所有権移転登記手続をし、かつ、右建物を引き渡せ。
3 相手方らは、前項の登記手続及び建物の引渡と引き換えに、申立人に対し、第一項の対価の支払をせよ。
〔理由〕(申立の要旨)
1、申立人は、相手方らから別紙目録(二)2記載の土地(以下本件土地という)を非堅固建物所有の目的で賃借中にして、同地上に同目録(一)記載の建物(以下本件建物という)を所有している。
2 申立人は、本件建物及び本件土地賃借権を東京都渋谷区笹塚三丁目二番一一号山本邦太郎に譲渡したいが、相手方らの承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。
(決定理由)
1 本件の資料によると、申立の要旨として掲げた前記1の事実のほか、本件借地契約の存続期間及び賃料は別紙目録(二)記載のとおりであることが認められる。
2 右のように、申立人は、本件土地の賃借人であり、同地上に本件建物を所有しているので、甲事件の申立は適法である。よつて、乙事件の申立に基づき、申立人に対し、本件建物及び本件賃借権を相手方らに譲渡することを命ずる。
鑑定委員会は、本件土地の借地権価格を3.3平方米当り一六万四、〇〇〇円、本件建物を四万八、〇〇〇円と評価し、借地権価格と建物価格の合算額から申立人が本件借地権を取得した昭和三五年四月から現在までの借地権価格増加分のうち賃貸人に帰属すべき部分を控除した二六四万円をもつて譲渡対価とする。借地権価格の増加分のうち賃貸人に帰属すべき部分があるというのは理解に苦しむところであり、通常は、借地権価格と建物価格の合算額から名義書替料を控除したものをもつて譲渡対価としているのであり、この方法によると、譲渡対価は、鑑定委員会の示した額を上廻るのであるが、申立人は同委員会の意見に異存はないので、これを変更するまでのことはない。
本件の資料によると、本件建物には抵当権等の負担はなく既に空家となつていることが認められるので、対価の支払と建物所有権移転登記義務及び建物引渡義務を同時履行とするのを相当とする。
(小山俊彦)
目録
(一) 建物
東京都杉並区高円寺南四丁目八四四番地一所在
一棟の建物の表示
木造亜鉛メッキ鋼板瓦交葺二階建
床面積 一階 70.09平方米
二階 13.49平方米
専有部分の建物の表示
家屋番号高円寺南四丁目八四四番一の二
木造亜鉛メッキ鋼板瓦交葺平家建居宅
床面積 35.53平方米
(二) 土地賃借権
1 当事者
賃貸人 相手方ら
賃借人 申立人
2 借地権の目的たる土地
東京都杉並区高円寺南四丁目八四四番一
宅地 272.72平方米(82坪5合)
のうち 69.15平方米(20坪9合2勺)
3 使用目的
非堅固建物所有
4 存続期間
昭和五二年八月八日まで
5 賃料
昭和四三年一〇月一日以降一ヶ月二一九七円